5月から6月にかけて、多くの学校、幼稚園では児童歯科検診があった事と思います。当院も遊佐町内の学校、保育園、幼稚園の校医を担当しておりますので、子供たちの口腔内の状態はいつも注意して見ています。

「むし歯」「むし歯の疑いのある歯がある」と学校から紙を貰うと歯科医院に行くことになると思いますが、その際予防のポイントとして当院でお伝えしていることを書きたいと思います。

 

①むし歯は「治りません」

むし歯になったら歯医者さんで治せば大丈夫、と考えている方は多いですが、むし歯は治りません。

どういう事かというと、歯科医院ではむし歯になって溶けてしまった部分を削って、人工的に詰めて直しているにすぎないのです。決して元通りになったわけではありません。これがわかっていないと、一度治療しても、その後何度もむし歯になってしまい、延々と再治療が続いてしまいます。

むし歯は予防できます。この予防意識を家族で共有する事が大切です。

 

 

②歯磨き粉、使ってますか？
これはすぐ実践できる項目です。歯磨き粉に含まれるフッ化物がむし歯予防に効果的です。歯が生え始めたらいつからでも使い始めて大丈夫です。お子さんの場合は子供用の歯磨き粉の方が使いやすいでしょう。
意外に多いのが、小学校低学年で初めてむし歯を指摘され、聞いてみると「歯磨き粉を嫌がるのでつけていなかった」というパターンです。

歯磨き粉なしで歯を磨いても、むし歯は予防できません。これは誤解している方も多いのですが、歯磨きで歯肉炎・歯周病予防はできるのですが、むし歯を予防する事はできません。むし歯予防に役立っているのはフッ化物なのです。必ず歯磨き粉をつけて磨くようにしてください。

 

 

③間食の種類と回数を考えてみませんか？

子供のむし歯は生活習慣病という側面もあるので、むし歯を指摘された場合は生活習慣の見直しも大切です。なかなか歯科医院での聞き取りだけでは原因を指摘できない事も多いのですが、以下の事に当てはまっていないかはチェックしてみてくださいね。

・家の冷蔵庫に水・お茶・牛乳以外で常備している飲み物がある

これに当てはまる場合、甘い飲料が常備されていないでしょうか？ほとんどのペットボトルに飲料には「果糖ブドウ糖液糖」などの糖分がたくさん含まれています。もちろんこれ自体もむし歯の原因になります。また喉が乾いた時に気軽に飲める事で、その都度飲食回数が増えます。当院では「飲むたびにその瞬間歯が溶けてるものだと考えてくださいね」とお伝えしています。さらには食生活が乱れる原因となっている場合もあります。甘い飲み物と一緒に食べるのは菓子パンだったり甘いお菓子だったりします。甘いものは一度ハマると抜け出しづらいので、それが家族の習慣として定着してしまうと、一日3食食べる、という習慣が乱れてきます。

この状態になると子供の心身の発育にも影響が出ます。食生活もやはり生活習慣の一部です。まず甘い飲み物を断つ事が改善への一歩につながる事もあります。見直しのきっかけにしてみてくださいね。

 

・よく食べるおやつは何ですか？

こう聞くと以前は飴玉、チョコレート、キャラメル、などの答えが多く、他のおやつを考えませんか？と提案していましたが、最近は食べるおやつも多様化してきたように感じます。そんな中、増えてきた答えが「グミ」です。このグミも常備している家庭もあるようです。
一見むし歯にはならなそうな気がしますが、グミの成分表を見たことはありますか？主な材料は砂糖とゼラチンです。砂糖が歯に残りやすいので、むし歯になりやすいおやつの一つです。

自分では大丈夫だと思っていても、歯科医院では「それはやめた方がいい」と言われる食べ物もあります。この辺りは各家庭の差が非常に大きいところですので、ぜひ一度歯科医院で相談してくださいね。

 

 

上記以外にも予防のために大切なことはたくさんありますが、まず生活習慣や考え方を見直すきっかけとしてこの３つの内容は聞くようにしています。

歯科検診で異常なしと言われた場合でも、このどれかに当てはまっている場合は将来のむし歯リスクがあります。ぜひこの機会に見直してみましょう！